BrandLand JAPAN

  • Relay Interview
  • March 15th, 2019

変化に対応するチャレンジを!
走りながら学び続けること。

内閣府 政策参与(クールジャパン戦略担当)
信州大学 理事(経営力強化担当)
浜野 京さん

約30年以上、ジェトロ(日本貿易振興機構)にて海外取引のサポートを続けられていた浜野氏。在籍中から、デザイン、コンテンツ、ファッション、サービス産業、農水産・食品分野で中堅・中小企業の海外ビジネス支援事業や産業観光等地域創生事業を立ち上げるなど、さまざまな分野で揺るぎない実績を作り、広い視野を獲得されてきました。

価値観の変化や貿易摩擦が生まれる中、日本にも新しい挑戦が必要とされている現在、これまでの経験と世界の潮流を知る第一人者に、これからの海外ビジネスに必要な挑戦の姿勢を伺いました。

かわりゆく輸出ビジネスの潮流

長きにわたり中小企業の輸出サポートを行うなかで、昨今叫ばれる、クリエイティブインダストリーに20年ほど前から注目し、さまざまなジャンルで海外出展サポートの基盤づくりに尽力してきました。得意なのは、プラットフォームづくりですね。

当時、中国をはじめインバウンド客もここまでいなかったですし、Eコマースの発展もあり、現在は輸出や海外ビジネスそのものが身近になっています。その中で、日本のモノづくりや感性も認められてきています。例えば、以前は楕円形の器は受け入れられなかったけれど、日本食が人気となり海外の方が見慣れてきて、今は少し売れるようになったなど、さまざまな要素が絡みあって受け止める側の状況も徐々に変わってきています。

マーケットボリュームは中国やASEAN、アメリカが大きいですが、全世界それぞれに特徴があります。より多くのバリエーションが受け入れられる土壌が広がっているので、そういった状況を見極めながら、自分の商材がどこに合うのかをしっかり見定める必要があります。

展示会リサーチで世界の流れを体感する。

展示会にいくことで、トレンドがわかります。特に欧米の著名な展示会は毎年先を読むテーマが設けられてたりするので、時代の流れを読み解き、自社製品の方向性を確認しながら戦略を練ることができます。

2018年9月のメゾンエオブジェは「ラ・ベルチュ」、日本語で言うところの「徳」をテーマに掲げていました。今世界は、人に誇れるような徳のあるビジネスをしようという時代にきています。そのサステナブルな潮流の中で、先日行ったバンコクのブティック・ホテルでは、カフェのストローは紙で、もうプラスティックを使っていなかった。流れを取り入れるというだけでなく、経営理念を人に見せるということもわかっている。動きが早いです。

開発と同時に、経営理念を完結にわかりやすいビジュアルで表現し、発信してゆかなければなりません。発信強化だけでなく、人に共鳴・共振してもらうための「何か」も深めてゆかないといけない。モノづくりやさまざまなサービスが人の生活により深くかかわってゆく中で、自分たちの経営哲学を提供できているか?ということが問われてくると思います。

挑戦をすることで分かる自分もある。

戦略を練るためには自分を知らないといけませんが、意外と多いのが自分が何者であるかを因数分解できていないケース。自分を知ることは簡単ではないが、一番大事なことです。

情報を集めると同時に、実際に海外ビジネス出展を経験することで、日本では気づかなかった自社の価値を発見することもできます。物流コストや、納品スケジュールのシュミレーションなどの準備も当然必要。展示会で商品をホメてもらうところまではいけるけれど、その先の物流や代金回収まで含めてが売る行為です。そこまでやってみて、はじめてわかることもある。

挑戦し、修正をかけてゆく。正しいベクトルを設定した中で、ブラッシュアップさせながら前へ進む。現代は100%を求めて準備をしても、時代の動きが早いので60点でもいいからまずやってみる、そこからスピード感をもって100点に近づけていく姿勢が必要な時代です。

また、海外へいくのが全てではないとうこと。自社製品が海外に向かないのであれば、国内でもいい。ただ、それを知るためにも海外に挑戦することはいいきっかけですし、展示会出展を機会に海外向けのパッケージリニューアルしたところ、そのデザインがよくて国内で火がつきヒットしたケースもありました。

セレンディプティの風をどこから吹かせるか、戦略が重要

自社プロダクトの方向性に合わせ、どこから風をふかせるのか?を効率的に考えてゆかないといけません。例えば、デザインといっても日用品やインテリアではターゲットが違う場合が多々あります。

インテリアで攻めるなら、ニューヨークとロンドンが国際的なインテリアデザインの集積地なので、ビッグビジネスにつながりやすい。ただ、そういうところで開催されている展示会は初めて参加する個社では場所がとれなかったりする、そういったときにジェトロのような公的機関や現地のコーディネーターの持っているブースやを活用する。

日本の商材は往々にして価格が安くなく、供給力が少ない場合が多い。そういう商品を買ってくれるのはどこか? 数ある展示会でも、トレンドの先をいくヨーロッパなのか?あえてスペックダウンして価格を抑えた商品に変え、戦っていくという選択肢も選べます。

どこの、誰に、どう売っていくのかという戦略を立てることが重要。状況や経営理念によって、攻めるべきところが違う。「セレンディプティ~これいいじゃない!」という風(かぜ)を吹かせる戦略が全然かわってゆきます。そのためには、情報集め、経験を積むことです。

公的機関を上手く活用していただきたい。ブランドランド事業のように、アドバイザーだけでなく、参加している企業さんから情報やネットワークをいただくことは多く、手助けになると思います。

インバウンドが成長している今がチャンス

今は、自分を磨き上げること発信を同時にスピーディーにやらないといけませんが、日本はその速度についていけていないことが多い。

ワールドカップ、オリパラ、大阪万博など、インバウンドが成長しているこの環境が未来永劫続くかはわかりません。余裕があるうちにインバウンドとアウトアバウンドをうまく組み合わせて事業構想をする必要がある。インバウンドで評判がたてば、投資家や事業拡大できるチャンスがひろがったりします。

今は日本にとってはいいターニングポイント。いまのうちに、傾向を取り入れて、学習して、磨き上げたものを海外にもっていく準備をすべきです。消費行動がめまぐるしく変わるなかで、どう対抗してゆくか?常に新しい情報と戦略が必要になってゆきます。

ミスリードされない挑戦先のセレクト、戦略のために。

やるべきことはたくさんあるけれど、一人でやる必要はない。セミナーや、ブランドランドなどに来て最新の情報にも触れ続けながら、攻め方を変えてゆくというのがいいと思います。

そして、いろんな知見や経験をシェアしながら、それを可能にする相談相手や、パートナー、戦略をもっている人を引き寄せる。その相手は、日本人でなくてもよいと思うし。この事業では、海外にいるプロジェクトマネージャーも採用してもらっています。そういった方々と、連携しながら、面を強化してゆくことは。海外に日本のファンを増やすという意味でも大事なことです。

そして、自らコストを払って学んでいく姿勢がないと、実際に身のある経験にはなりません。その姿勢が一番大事かもしれません。

つなぐ人材の育成へ向けて

世界市場をわかる人材の育成が重要だと思っています。ジェネラリストでなくても、バイヤーを知っていたり、コアなネットワークへのPR施策を打てるなど、そういう人がたくさんいれば、輸出競争力もあがります。日本はデザイナーやクリエイターは増えてきたので、次は海外マーケットを熟知したプロデューサー、海外とつなぐ人材の育成が課題です。

例えば、高いお茶を売れるマーケットがあっても、商品の価値を説明できる人が必要になる。そのマーケットにアクセスし、高いものをうるための工夫が必要です。細分化するマーケット、ターゲットにむけて、より戦略的になっていかないといけない。

日本では、縦割りの事業の中で、商社や問屋が専門性をもってやってきたが、今はそれを横断して、トータルでまわすことが求められています。例えばインバウンドで言えば、観光、小売り、アクティビティなど、いろんな分野の人を使いこなしていかないといけない。ライフスタイル全体を包括できるビジネスが強くなっている中で新しい分析や手法も必要になってくる。リアルとネットを融合させるところもやっていかないといけない。ひとつのことだけをやって大きく勝てる場所ではなくなっています。

いろんな補助金やサポート、ネットワークもあります。そういったものを組み合わせて戦略を組み立てられる人材をいかに育てていくかが重要になると思います。ターゲットに向けてどう掘っていくか、どうディレクションするか、行動を起こし、挑戦できる人材を一人でも多く育てていくことで、より多くのチャンスと結果をもたらすことができると思います。

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