BrandLand JAPAN

  • Producer Report
  • Nov 6th, 2017

次世代プロデューサーの視点レポート

このトピックスでは次世代を担うプロデューサー人材がそれぞれの視点で海外市場における販路開拓に対する考察を自身の視点でレポートして行きます。新たな体験から得た販路開拓における課題や気づきをチェックしてみてください!

浜野京氏(内閣府政策参与)とのPARIS視察を終えて
Producer AM/D ltd. SAEKA.

次世代プロデューサー応募の経緯と理由

ナショナルクライアントのブランディング案件から中小企業なブランディング案件へとビジネス領域をシフトしていく中で、素晴らしい人たちが、素晴らしい商品やサービスを提供しているにも関わらず、ブランディングに投資する予算が少ないこと、中長期的にブランディング計画を立てにくいことに、課題を感じていました。目の前の数字を着実に稼ぎながら、ブランドを成長させるためには、販路拡大の戦略が密接に関わっています。私はクリエイティブエージェンシーのプロデューサーでありながら、販路拡大の知見を広げ、それら領域も加味しながらブランド価値を高めていく戦略を練ることができたらと考え、次世代プロデューサー育成プログラムに応募し、本事業シニアプロデューサーである内閣府政策参与の浜野京氏のパリ視察に同行させていただきました。

欧州市場の海外ビジネスで、日本企業が抱える課題

フランス国内外から大きな注目を浴び、年に2回開催される国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」。出展する日本人の大半は、商品を売ることを目指しているものの、実質海外に出て満足して終わるケースが多いようです。その理由は、まずビジネスのスピード感と価格設定。日本の展示会と異なり、展示や挨拶の場ではなく「商談の場」としての色が強いため、ブースで即座に交渉できるよう、価格、最低発注額、納期、支払い条件などの点は事前におさえておき、その場で買い付けを成立させられるような準備が必須となります。価格設定において、日本商品の原価に関税・輸送費などの諸経費を含むと高額になるケースがあります。ハイエンドバイヤーをターゲットにする場合でも、相応の品質や機能、それらを伝えるプレゼンテーションも必須になるので注意しておきたいです。競合製品は世界中から集まったものと競う必要があるので、高額にするには、それなりの理由と商品メリットが必要です。

made in Japan=品質がよい、ものがよいという認識は、すでに世界の人々に広く浸透しています。日本人の美意識が生み出した、ものづくりの精神やプロダクトヒストリーについても、非常に関心が集まります。しかし、いざ買うとなると、話は別問題です。日本人に比べて、衝動買いをしない気質の為、生活に根付く商品であるか自身の暮らしに取り入れる必要がある商品であるかが強く問われます。特に、海外市場のトレンドを確認せず、日本で売れた商品をそのまま展示することは、現地ニーズと適合していない可能性が高いため成功しないといいます。海外のライフスタイルやニーズに応える商品を厳選し、それにともなうプロダクトを開発することが非常に重要です。ドイツと名古屋に拠点におき、世界20カ国で販売展開しているSuzusanの村瀬さんは、成功におけるプロセスをこう語ります。「製品をデザインする際に日本的な要素を前面に出すことはしません。日本を前面に出すと、使う方も日本を意識しすぎてしまい、限定した使い方しかできないと考えているからです。日本だから良いのではなく、そのブランドだから良いと思ってもらえるようなブランディングをしています。」

また、メゾンの展示会について「展示会を見ていて、日本のブランドは、『どこで・どのような人が・どのような思いで作っている』のか、ということはかなり明確に出ていると思っています。しかし、『どこで・どのような人が・どのように使うか』ということが、現地の人にそこまで届いていないと感じています。日本で売れたからと言ってそのまま持ってきても、どうやって使うかわからないことは多くあります。日本の中では需要があって、良いものではあるかもしれませんが、食文化・気候・宗教も違う中で、『どのように使うか』を明確にしないと、受け取る側もとまどってしまいます。素晴らしい日本製品はたくさんありますが、それを自分の生活に入れると考えると、なかなか取り入れづらいということがよくあるのです。『どのように使うか』までをある程度提示することが大切だとおもいます。そのためにまずモノを作って持ってくるのではなく、モノが出来上がる前に売り先の環境を、実際に生活をするなかで感じてみてその経験を踏まえてデザインをするのもいいのではないでしょうか。」言葉や文化的相違を超え、世界と戦い成功するためには、海外のライフスタイル、ニーズに応える商品の厳選、自社に当てはまる海外のターゲットの把握、そのターゲットを狙った戦略の実践が根底にあるため、根気と継続性が求められます。

今回の視察では、メゾン・エ・オブジェの他に、パリ現地に店舗を構えている日本ブランドのショップにも訪問しました。それら会話の中で最も重要だと考えたことは、進出したい国の現地バイヤーやトリビューター、現地のビジネスパートナーなどの人脈を構築することです。展示会に出展し自社ブースでの商談も必要ですが、他の日本勢及び海外ブースの出展者とも積極的に会話をして情報を収集し、横のつながりを構築しておくとよいと思います。BrandLand JAPANは、継続してブランディングすることへの意義と採択された事業者の一歩先も含めたプロジェクトと向き合っているので、未来に役立つ人脈が投資するに最適なビジネスパートナーを発掘する足がかりになると考えています。

(BENTO BOXの商材を中心に、パリのバイヤーとのコネクションをつなぎ、ビジネスを成功させている青木氏。本プロジェクトでは、幡プロジェクトのプロデューサーです。9月のメゾン・エ・オブジェでマーケティング検証を実施しています。)

パリ・メゾン・エ・オブジェ (MAISON & OBJET)へ出展することの価値とは?

主に、海外市場での販路拡大について述べてきましたが、パリ・メゾン・エ・オブジェ (MAISON & OBJET)は、欧州最⼤のインテリアフェアである⼀⽅、現在、全世界からインテリア関連のブランド、バイヤーそして関連媒体の記者が必ず参加する世界最⼤のインテリアと雑貨の⾒本市となっています。パリ・メゾン・エ・オブジェ (MAISON & OBJET)の出展に当たっては、毎回厳しい査定が開催者の側から⾏われ、最新のトレンドを重視する分野のマーケットトレンドを牽引する存在であります。中⼩企業から⼤⼿ラグジュアリーブランドまで、出展する企業のバリエーションが豊富で、世界中から集まるバイヤーにとって、それが当⾒本市の魅⼒と強みとなっています。企業の規模より、センスやデザイン性、商品の質が最も重視され、それに相応しい準備と戦略ができれば、メゾン・エ・オブジェでの出展は、出展企業にとって効果的に⼤きなチャンスをもたらすといえます。また、多数の⽇本からのバイヤーも来場するため、 国内外両⽅の販路開拓に繋がるといえます。MAISON & OBJET での出展実績は、⾃社の宣伝およびブランドイメージに効果的でもあります。世界へと挑戦していく過程で生まれるそれぞれの効果を、最大化していただきたいと思います。

最後に、、、世界で戦うということ

今回の視察を終えて、変わったことがあります。それは、競争力という言葉の捉え方です。パリ視察に行く前は、競うという言葉に抵抗感がありました。しかし、世界中のものがあつまるパリでの視察をする中で、ものづくりの国・日本に暮らすひとりの人として、世界に対して、伝えきれていない日本の潜在的な魅力を届けていきたいと強く感じました。他国と競争するからこそ垣間見える、日本の深く、奥深しい文化やものづくりのスピリット。それを世界へ広げていきたいと思うと同時に”稼ぐため”の日本の礎を築く取り組みを目指していきたい。浜野氏は「今、日本が稼がなくてどうする。輸出にしろ、インバウンドにしろ、日本の素晴らしいモノづくりやサービスを海外に通用するビジネスとして成功させることが重要です。そしてその活力を次世代の 若者に引き継ぐことが私たちの使命ではないかと。今こそ、変化に対応して、チャレンジしましょう!もちろん、成果を出すには戦略が必要で、そのためには海外ビジネスにつなげられる人材の発掘、育成が急務なのです」と熱く語ってくれました。伝統とは、つくるだけでなく、繋ぐことでもあると思います。そのために私は、”戦う”という活力を持って、日本の潜在力に投資していきたいと思います。

Producer AM/D ltd. SAEKA. http://amd.tokyo/ saeka@amd.tokyo
商社で器の貿易業を経験後、一児の母となる。その後、広告グラフィック事業/Webプロモーション事業を経て、ブランディング事業を展開するAM/D ltd.にてプロデューサーとして従事。現在はブランディングや企業の課題を解決するためのクリエイティブワークを行っている。