BrandLand JAPAN

  • Special Interview
  • Feb 28th, 2019

売ることと、
ブランディングの間にある葛藤

SPL Design
CEO 宋沛倫 (Pellen)
http://www.spl-design.com.tw/

日本人の建築家、伊東豊雄が設計したことで知られる台中國家歌劇院(台中メトロポリタンオペラハウス)の一角にSPL Designのコンセプトストアはある。
CEOでありプロダクトデザイナーであるPellenさんは、ZINIZというライフスタイルブランドを展開する。インテリアに馴染む洗練されたデザインの消火器「SAVIORE」はドイツのデザインアワード「red dot design award(レッドドット・デザイン賞)」で特に優れたデザインに贈られるベスト・オブ・ザ・ベストに選ばれる等、台湾だけではなく世界からの注目度も高い。
デザイナーとしてプロダクトを発表しながらも、経営者の目線で商品のブランディングや海外の商品の販売代理も行なうPellenさんに、つくり手の気持ちを考えながらビジネスをすることの葛藤についてうかがった。

逆輸入型が目立つ台湾の
プロダクトデザイン事情

元々私の専門は機械工学だったんです。でもデザインが好きな自分にとって、台湾は外国のものだらけで、台湾から国際的なブランドが出ていないことに、もどかしさも感じていました。
台湾では「海外で認められているから良いものだ」と思われる傾向がとても強く、台湾のデザインアワードで受賞したのも、海外のデザインアワードで受賞した後のことでした。最初はおかしなことだと思っていましたが、この状況も現実として受け止めなければならないことに気づいてからは、ブランディングにうまく活用してきました。
自分のブランドを、パリのメゾン・エ・オブジェや日本のライフ・リビング展等に出展してきました。実は、そういった自分が参加した海外の見本市で、偶然ご縁のあった面白いプロダクトを台湾で売りたいと思ったのがディストリビューターとなるきっかけでした。

売れるかどうか、
土地のライフスタイルに合うかどうか、
コストははまるかどうか

これまで日本のバイヤー招聘事業等で、日本でものづくりに関わる人たちと接する機会が度々ありました。その度に、よく「バイヤーとして商品を見るポイントは」等と聞かれます。
多くのバイヤーがモノを買い付けるとき、その判断基準はとてもシンプルです。モノが売れなければ意味が無いですから、人を惹きつける魅力のある商品かどうか、海外の商品であれば異なる文化圏でも問題なく受け入れられるものなのかどうか、工場出荷価格に加え輸送費や関税等を付け足しても販売できる価格におさまるのかどうか、という点を見ています。なので、私自身も見本市に参加する際はそのような情報の整理をしておきます。
私もモノをつくっている立場なので、ただお金儲けをしたいだけのディストリビューターとは付き合いたくない、という気持ちもよく分かります。
自分のデザインに対する想いやコンセプトを汲み取って、商品の特徴や世界観を伝えてくれる代弁者と一緒に仕事ができたらそれは一番幸せなことですよね。

売り方のローカライゼーション

でも、そこで少し難しいなと思うのは、どの国でも売り方を変えず同じように売ろうとすることです。プロダクトであれば、物自体を変えることには無理がありますが、地域によって消費者が購買意欲をそそられるツボは少し異なると思うんです。
商品の見せ方をローカライズさせることは、販路を拡大することに直結すると思います。
知らない土地で、自分の商品がどのように売られるのか、つくり手にとってはとても気になるものです。だからこそ、私は販売者と販売代理店の間の信頼関係は、とても重要だと思っています。海外でモノを売りたいのであれば、その地域に合った売り方をしないと売れるものも売れません。
“ブランディング”と称した“押し付け”にならないよう、ビジネスパートナーときちんと対話しリスペクトし合える関係が理想です。

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