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  • Special Interview
  • Jan 15th, 2019

日本の日常をユニークに視る

台湾人視点で日本文化を紹介する雑誌『秋刀魚』
編集長Eva Chen
http://qdymag.com

『秋刀魚』は2014年に「日本文化を紹介する台湾唯一の専門誌」として誕生。インターネットを介して、日々最新の情報が行き交うSNS大国の台湾で毎号4万部の紙媒体を出版し続ける彼女たちの想いとは。台湾人視点で日本文化を紹介する雑誌『秋刀魚』の編集長 Eva Chenさんにお話をうかがった。

日本と台湾を結ぶ雑誌『秋刀魚』

雑誌『秋刀魚』ですが、私たちは魚の専門誌ではありませんよ、よく間違えられますが。「秋刀魚」は日本語で「サンマ」と言いますが、同じ漢字で中国語では「チョウダオユー」と発音し、意味も同じです。日本列島が秋刀魚の形に似ていること、我々出版社の名前が黒潮文化と言うのですが、文化の流れも秋刀魚が移動する潮の流れに似ているということが雑誌名の由来です。あと、台湾人はユニークなものが好きなので、一度見たら忘れない名前にしました。

台湾は歴史的に日本と関係があるため、日本の文化に懐かしさを感じているという人もいますが、それは我々の親やその上の世代で、我々は生まれながらにして生活空間の中に日本の文化がある環境で育った世代です。小さい頃に見ていたテレビドラマやアニメも日本のもの、家庭内では“日本製のものは良い”と言われて育ちました。私は日本語があまり分からないのですが、学生の頃から日本の雑誌を見るのが大好きで眺めていたので、大学を卒業して間も無く出版社を立ち上げた際は素人ながらに日本の雑誌レイアウト等を参考にしていました。

ありそうでなかった「日本文化の専門誌」

台湾は日本の情報やもので溢れていますが、実は台湾で日本の文化を専門に紹介する雑誌は『秋刀魚』だけなんです。情報の速さという意味では、今やインターネットがあるため、日本で流行しているものはSNSを通じてほぼ同時に台湾でも広まります。我々は、ネットで調べただけでは出てこないようなディープな情報を取材し、独自の切り口で編集するんです。そうすることで、台湾人にとってより深い日本の文化を紹介することができたり、最近では「日本人が気付かないような日本の面白さを再発見できる」雑誌として、日本で『秋刀魚』を取り扱ってくれる本屋も出てきました。日台相互に興味深い影響を与えたということで、光栄なことに文化部(日本の省に匹敵)の雑誌賞を3年連続でもらっています。好評だった「梅酒特集号」では、様々な日本の梅酒に合う台湾料理の店を紹介しました。台湾人は同じ梅酒でも沢山の種類があることに興味を持ちましたが、日本人は台湾料理の店に興味を持ったようです。同じ雑誌を見ても、目の付け所が違うのは面白いですよね。日本でも台湾を紹介する雑誌が多く出版されていますが、どれも我々台湾人にはない視点で編集されており、こういった気付きが文化交流なんだと思うんです。

時代の変化と共に伝え方も変化する

『秋刀魚』として紙媒体の他にウェブマガジンの展開も始めています。活動域を広げることで学ぶことも多いですね。少し前まではウェブ広告は綺麗な写真があれば人々を引き込めたけれど、今は動画広告が無いと人の目にとまらないという状況があります。例えば、日本ではブランドのストーリーを美しく語った長い動画が魅力的な広告として成り立つけれど、台湾ではそうはいかない。どんなに高尚なブランドだって、台湾では短くてユーモアがあり人を惹きつける動画広告の方がウケるんです。これは日本とは異なるのかなと思います。

台湾人が日本のものを好きなのは、当たり前といえば当たり前なんです。ですが今、台湾人の日本文化を見る視点は少し変わってきていると思います。少し前から日本では「地方創生」というテーマが盛んに取り上げられていますね。台湾でも日本と同じように、地方を活性化しなければならないという意識が芽生えているので、日本の地方における取り組みを見て、「自分たちの台湾では何ができるのだろうか」と考える人が増えてきました。我々は取材で日本の地方に行くことも多くありますが、パワフルな地方の人たちと触れ合うと、面白い発見がたくさんあります。日本に旅行へ行く台湾人は多いですが、中心部は行き尽くし、地方に足を運ぶ人たちも増えているんです。旅行ガイドには載っていないような地元の人、ニッチな店、地域の食べ物などを記事にした号は好評でした。自由な発想で日本文化を紹介している私たち『秋刀魚』ですが、これからも台湾から見たユニークな視点で日本文化を発信し続けたいと思っています。私たちの活動が、新たな文化交流を生むきっかけになれば嬉しいです。

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