BrandLand JAPAN

  • Special Interview
  • Feb 28th, 2019

台中から日台の
コミュニケーションを生み出す

綠光+marüte gallery
アートディレクター/設計士
木村一心

建築学科在学中、台湾は台中にある「綠光計畫」の設計に携わる。「綠光計畫」のディベロッパーである台湾の「范特喜(Fantasy story)」の設計士として活動した後、独立。現在は日本から進出する企業の店舗設計を手がける傍ら、綠光計畫の顔となるアートギャラリー「綠光+marüte gallery」を運営し日本の作家を台湾で紹介する橋渡しをしている。

台北とは異なる台中のリノベーション事情

建築学科在学時に大学の先生がこちらの施工に携わっていたきっかけで、私も学生時代に設計に携わることになり、台湾に滞在することになりました。その際一緒に仕事をしていた台湾現地のディベロッパー「范特喜(以降Fantasy story)」は、歴史ある建造物をリノベーションする専門のディベロッパーで、台中を中心に地方のまちづくりを牽引しています。日本には無い面白い企業だと思い、そのまま就職させてもらったんです。独立した今も一緒に仕事をしています。
2013年当時は、この辺りは公園やデパートしかなかったのですが、「Fantasy story」が開発して雑貨屋さんや感度の高いカフェ等をつくっていくと、自然と沢山の人が集う場所になっていきました。 元々、「綠光計畫」の建物一帯は築70年程の水道局職員用宿舎でした。20年程手付かずの状態だったこの場所を、取り壊さずに活用しています。台湾ではBOTという制度があります。政府が保有する建造物の運営を民間ディベロッパーに委託する仕組みことです。「綠光計畫」は台中市政府が所有している施設であるため、民間ディベロッパーが台中市から委託される形で運営しています。

今でこそ台湾中にリノベーション施設ができていますが、「綠光計畫」ができた当時は、とても珍しいスタイルの商業施設でしたね。 台湾政府は、歴史ある建造物をクリエイティブな空間にすることで、新しい文化を創り出そうと動いています。台湾の中心部である台北市にはリノベーションを施した商業施設が数多くありますが、基本的に台北市政府の管理下にあり、設計する上でも多くの制約があります。一方、台中等の地方においてリノベーション施設では、民間が主導です。政府が民間に管理を委託しており、活用の自由度も高いです。例えば、「綠光計畫」では建物の鉄骨を這うように樹木が育っていたりと自由度が高いですが、これが台北市だと実現できません。民間が政府を頼らずに運営することで、地方政府では手がゆきとどかないクリエイティブな空間を創り出すことができます。

アートディレクターとして日台をつなぐ

この「綠光+marüte gallery」は、日本の作家さんと台湾の人たちの交流の場になっています。陶芸、ガラス、イラストレーションや絵画等、日本の作家さんの作品を展示・販売しています。特に人気があるのは、サイズが大きな絵画、実用性が高く作家性の強いものです。台中近郊は富裕層の住宅が多く、インテリアに合わせやすい作品が売れやすい傾向もありますね。展示する作家さんが変わるたびに来てくださる近所の方もいます。
また、基本的に作家さんに在廊してもらう際は、ギャラリー内で作品を制作してもらったり、ライブペインティングをしてもらったりしています。言葉は通じなくても、作品を通じてコミュニケーションを取ることができるんです。作家さんにその場で描いてもらえる似顔絵スケッチが人気です。人気の作家さんは、作品の販売よりも多く稼いだりしている人もいます。(笑)

実は、日本からの巡回展で展示してもらう作家さんの展示では、日本で売り切れてしまって台湾は展示のみ、という方もいます。 作家さんたちは、自分が行ってみたい場所で作品を知ってもらえたら嬉しい、という感覚で来ているので、比較的お客さんの少ない平日には作家さんは自由に台湾を旅行してもらい、土日はギャラリーに在廊してもらっています。 作家さんにとっては、台湾の土地のことや人に触れ、刺激のある時間になるようです。 最近では、台湾の作家さんが日本で開催するクラフトイベントに参加したい、という相談を受けてイベント開催者と繋げるお手伝いもしています。 今後も、建築を通じてコミュニケーションが生まれる空間を創り出し、日本と台湾をつなぐような活動をしていきたいと思っています。

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