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写真提供: Fujin Tree Group

  • Special Interview
  • Jan 15th, 2019

時代の先を読み解く力

Jay Wu (ジェイ・ウー)吳羽傑
Fujin Tree Group/Founder & President
http://fujintreegroup.com/

日本やカナダでの留学経験、台湾の総合商社勤務を経て2014年にFujin Tree Groupを創設。台北松山空港からほど近い富錦街(フージンジエ)を中心にファッションやインテリア、食など幅広くショップを展開。日本のアパレルブランドの販売代行や、感度の高い飲食店を数々手掛ける。今回はFujin Tree Group創設者のJay Wuさんに、経営者としての本音をうかがいました。

豊かな暮らしを伝えるために

Fujin Tree Groupがセレクトショップをオープンした当時、この富錦街という通りにこういった店は何もなかったんです。私たちがショップ、カフェやレストランをオープンしていくなかで、人が集まるエリアとなりました。私が日本に留学していた時、メンズ服の選択肢が沢山あることに驚きました。「こういった格好いいアパレルブランドを台湾に持って行きたい」そう思って事業を起こしたのが始まりでした。Fujin Tree Groupは多様なお客さんの様々なシーンに合うよう、お店を展開しています。ハイエンド向けのセレクトショップから、気軽に入れるカフェ、台湾料理とシャンパンをテーマにしたレストラン等、業態も多岐に渡ります。新奇性も大切だと思っているので常に新しいことに挑戦する姿勢も絶やしません。より多くの人が心地よい豊かな暮らしを共有できればと思っています。

写真提供: Fujin Tree Group

「文青」「文創」ムーブメントが内包するイメージ

ビジネスをする以上、素直に世間の経済状況と向き合わなければなりません。台湾では、ここ2年くらい経済状況が良くないと一般的に言われています。先行きが不安な社会では、車や家など額の大きな買い物をする人たちは必然的に減ります。日本も同じような状況があると思います。台湾では「文青」(文藝青年)という概念があります。文芸を愛する青年のように、創造性や知性に富み、人とは異なる生活を送る若者のことやそういったライフスタイルを形容する言葉です。また、近年は政府主導で文化的なものと創造性あるものを掛け合わせたクリエイティブなものを「文創」と表現し、アートや建築を中心に観光や街づくりにもこの概念が活用されてきました。この「文青」や「文創」という言葉は、一見良い言葉のように思えますが、実は「お金がない」というイメージも併せ持っていると思うんです。お金がないから使わない、という訳ではなく、長期的に賃金が上がらない社会で、身の回りにあるもののクオリティを上げ、まずは自分の生活を豊かにしたい、という人々の行動に支えられてきた文化の概念だと私は思っています。

写真提供: Fujin Tree Group

収入が上がらない状況が続いている一方で、台北市内の物価や不動産価格は高騰しています。だから当然若者は家を買えないし、多くは実家に住んでいます。お金が無いから田舎に戻って家族と暮らす、ということもあります。また、実家に暮らしていると、部屋を全部自分の好きなインテリアでしつらえるということができず、コンパクトで実用性のある日用品を良いものにしたり、外でカフェ等自分の好きな空間を見つけたりする、という状況が多くなっています。

写真提供: Fujin Tree Group

台湾でも最近「地方創生」が注目されているんですが、これも実は経済状況と深く関わっていると思います。「田舎にも良いものがある。地域を盛り上げたい。」と思う若者が出てくるからです。お金が無くても幸せでいられるという考えも、お金があれば幸せになれるという考えも、どちらも間違えではありません。こういった社会を取り巻く経済状況が新しい文化を生み出しているのもまた事実です。

ポジティブに考えるからこそ見える次の時代

でも、みんながみんな、お金が無いけど豊かな暮らしができれば良いと思っているわけでもないと思うんです。暮らしだけでも豊かにしたいと思っていた人たちも「やっぱりお金も必要だ」と思い始めているような感じがします。今、台湾の若者が大学を卒業して海外で働くというケースも少なくありません。海外の方が待遇が良い、という経済的な理由が主たる要因です。台湾人には中国語・台湾語・英語・日本語が話せるという人材も多く、地域を選ばず働けるんです。海外にいる台湾の若者も当然優秀で、台湾にはいないけれど、台湾のことを大切に思っている。今後、台湾の経済が回復していくことで、そういった若者が台湾に戻ってきて、台湾の社会を一緒に動かしてくれると、私は期待しています。よくない状況を嘆いているばかりでは何も変わりません。理想の世界を見据えて、ポジティブに努力を積み重ねていくことが大切だと思っています。

写真提供: Fujin Tree Group

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