BrandLand JAPAN

  • Project Report
  • Feb 27th, 2018

清水白桃ゼリーのタイ展開

事業者:有限会社清風庵
プロジェクトマネージャー:勝田隆仁

芳醇で香り高い岡山県産の清水白桃の半割を使用した清水白桃ゼリー。2017年に行われた第27回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞に輝いたこの逸品をタイで展開。実店舗での取り扱いやお土産商品として販売を行うことを目指したプロジェクトです。フラッグシップライン、セカンドラインの2つの方向からの展開を模索し、その結果、予定通り進んだこともあれば、方向転換の末に着地点を見つけた部分もありました。プロジェクトマネージャーの勝田隆仁氏がこれまでの歩みを語りました。

高級な鮨と一緒に提供して、
プロモーションやブランディングを実施

 日本でひとつ800円で販売されている清水白桃ゼリーをフラッグシップラインに位置づけ、タイ産の生フルーツを使って現地生産したセカンドラインのゼリーと並行してタイで展開する。これが当初の予定でした。

 フラッグシップラインの清水白桃ゼリーに関しては、9月の頭にバンコクで行われたジャパンエキスポのレセプションの際に、銀座にある鮨の名店「久兵衛」のお鮨と一緒に提供して、プロモーションやブランディングを実施。この時は実際に100名ほどの方に召し上がっていただくことができました。さらにレストランを併設したアッパー層向けの高級食材マーケット「Shinsen Fish Market」では、フェアに出店していた「久兵衛」のコースメニューのデザートとして提供させていただき、こちらも100名ほどの方に楽しんでいただきました。いずれも好評で“本当に美味しい!”“どこで買えるのか?”などの問い合わせも多く、大きな手応えをつかむことができたと思います。

 ただし、もともと決して安い商品ではなく、日本から輸出する時にさまざまなコストがかかるため、実際に現地で販売する場合は、どうしても日本の価格の1.5倍くらいになってしまう。そうなるとなかなか大量には売れないし、現地で販売されているほかの日本の商材との差別化が難しくなってしまいます。

テスト販売で好評を得たが、
販売価格が問題に

「Shinsen Fish Market」でのテスト販売では、価格を日本円で990円にさせていただいています。レジ近くの一番いい場所でコーナー展開をさせていただき、約2週間で70個程度が売れました。個数的にはそんなに多くありませんが、それでも「Shinsen Fish Market」からは継続的に展開をしたいというお話をいただいています。ただし、価格に関しては見直す必要があるとも。

 その場合、販路は「Shinsen Fish Market」とその傘下の店が中心になりますが、アッパー層が多いので、ほかに比べたら売りやすい環境だとは思います。一方で、別のディストリビューターを立てて販路を広げていくという戦略もあり、今、どちらが適しているのか、検討している段階です。

販売する商品を変更すれば、
現地の希望価格と安定供給を実現できる

 懸案事項になっている価格ですが、「Shinsen Fish Market」からはひとつ850円ほどでないと厳しいと言われています。でも、そうなるとほぼ利益が出ないので現実的には難しい。そこで販売する商品を清水白桃ゼリーではなく、そのひとつ下に位置付けられている白桃ゼリーにすれば、日本での単価が500円なので、タイでの価格も先方の希望に沿えるかなと思います。加えて清水白桃ゼリーは日本国内でも人気の商品で、かなり売れているため、タイで販売する分まで生産ができるのか供給面でも不安があります。その意味でも白桃ゼリーのほうがタイでの展開には向いていると思いますね。

 ちなみに弊社がタイでの展開を手がけて大ヒットしている商品に、湯布院のチーズケーキがありますが、実は最終的な加工は、日本のレシピをもとに現地のタイで行っているんです。であれば、同様に清水白桃ゼリーも現地で生産してコストを下げることも検討しましたが、日本とタイでは桃の質が異なりますし、製造工程にも問題がありました。つまり日本と同等のものを現地で生産するのは、現状では難しい。だったら清水白桃ゼリーは一定数の展開にとどめて、それによってブランド力をつけてから、より安価な白桃ゼリーを大々的に輸出して展開する感じがいいのではと思います。

セカンドラインは方向転換、
ドリンク形式で商品化へ

 一方、最初から現地で生産することを想定していたセカンドラインに関しては、日本の白桃ゼリーのノウハウをベースに、実際にタイで製造できるのか? とか、どういう商品が現地でウケるのか? などをリサーチしながら試行錯誤してきました。その結果、タイは暑い国なので、フルーツは豊富に獲れるのですが、清水白桃ゼリーの場合と同様に、それを加工する技術が未熟であることが問題となりました。フルーツをシロップ漬けにする時の甘さの調整や、保存して提供する際の方法に関してさまざまな検討を重ねた結果、最終的にはドリンクの形状で提供することに落ち着いたんです。暑いタイでは爽やかなフルーツテイストがウケるので、白桃ゼリー製造元の清風庵さんからアドバイスをいただきながら、現地で獲れたマンゴーや桃、イチゴなどをベースに、ソーダとゼリーをミックスしたオリジナルドリンクを開発。その場でつくったものを提供することになりました。

タイの人気アイドルグループとの
連動プロモーションで若者に訴求

 フラッグシップラインがアッパー層向けだとすれば、セカンドラインのドリンクは一般大衆に向けた商品です。そこでプロモーションに関しては、今、タイで幅広い層から人気となっているAKB48の姉妹グループBNK48と連動した形で行っていく予定です。当初は専用劇場が完成したら隣接するカフェで提供するはずだったんですが、施工が大幅に遅れまして、最終的に別の場所にあるガラス張りの公開スタジオで提供を始めることにしました。BNK48は、結成からまだ1年程度しか経っていませんが、セカンドシングルとしてリリースした『恋するフォーチュンクッキー』のBNK48版が現地で流行っていて、YouTubeの公式チャンネルではタイの人口約6,900万人を上回る再生回数を記録しているほどの国民的アイドルに成長しています。メンバーにはドリンクをつくるトレーニングを受けていただいているので、実際にファンの前で彼女たちがつくって提供することもあります。スタジオは撮影OKなので、メンバーがドリンクをつくる様子やドリンク自体をファンがスマホで撮ってSNSで拡散。かなりのインパクトと販促力があると思います。

 実はタイでは日本の商品への関心やリスペクトが高く、多くの日本製品が成功する可能性を秘めていると思います。実際に展開する場合、日系の企業や現地の日本人に頼ることが多いと思いますが、実際には当然ながらローカルの企業のほうが強いネットワークを持っています。ですので、日本人で固まらずに現地のパートナーと組んでやっていけるとより安心だと思います。特にタイは華僑の人たちが強く、日本人だけでは入れないネットワークや販路があるので、そことコネクションをもつことが重要です。そして、現地の人たちの目線で売れると思うものを売ること。これも日本の商品がタイで成功を収める秘訣だと思います。