BrandLand JAPAN

  • Final Report
  • March 1st, 2019

YAMAMO “I.L.A.” PROJECT

産業は芸術に恋をする

事業者名:高茂合名会社・ヤマモ味噌醤油醸造元
プロジェクトマネージャー:株式会社GRANMA/木村拓人

ヤマモ味噌醤油(以下、ヤマモ)のファクトリーツアーを開発。製品とともにドイツを中心とした欧州、アメリカ、中国、インドでの販売、販促を目的にスタートしたプロジェクトです。始まってすぐに行ったのは、ツアー内容のブラッシュアップ。8月、9月に欧米での出張営業を行い、販売や販促の基礎を固め、それに合わせてマーケティングの一環として、現地でワークショップを行いました。これはパートナーである現地のイベント運営会社や旅行代理店と一緒に企画をさせていただき、ヤマモが持っているコンテンツを、ワークショップを通じて展開したり、販売を通じて知っていただきました。

中でもドイツ・ベルリンのイベントNION Weekと、アメリカ・ポートランドでのファーマーズマーケットに出展した際に行ったワークショップでは、日本の食や発酵への興味関心が高いことを実感。健康ブームのひとつとして日本食が受け入れられ、週に何回か味噌汁を飲んでいる方もいらっしゃるほど。ただ、現地で飲まれているものは出汁が効いていなかったので、ワークショップで出汁の取り方も教えることで、味噌汁の本当の美味しさを実感してもらいました。さらには麹のメカニズムの話や、発酵自体が各家庭で作られるDIY的なものであることを伝えることで、より興味をもっていただけたと思います。参加者のレスポンスもよく、ブログで紹介していただいたことがプロモーションにもなりました。

当初の予定では、12月に中国、1月にはインドでも同様の営業を行う予定でしたが、アジアに関しては、販売する製品も含めて、ツーリズムのコンテンツや宣伝、広報のツールを強化することになりました。というのも、コミュニケーションを何度か行うと、我々が打ち出したいものが伝わっていないことに気づいたんです。これは外国人に対してだけでなく、日本国内の方々にも同じような傾向が見られたので、そこをもう一回仕切り直したほうがいいと考え、12月の末にドイツをはじめ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、オランダの6カ国を回り、8月、9月に行なったことをあらためて行いました。ワークショップまではできませんでしたが、代理店を含めて、ある程度、興味を持たれている方々とのネットワークが構築できました。これは制作中の広報物について、デザインやテキストなどを精査していく上で、海外のみなさんの視点を取り入れるためのネットワークを作ったという意味合いが強いです。

また、テストマーケティングの意味で、急遽11月に国内の人たちをターゲットにした2000人規模のイベントを、ヤマモの地元である湯沢市岩崎で開催しました。資金調達にはクラウドファンディングを利用し、使っていなかった醸造所をイベント会場にしたり、いぶりがっこなどの発酵食品をイタリアンにして食べてみたりと、9日間でかなりの数の経験を作ることができ、発酵ツーリズムと言い切れるような充実した内容になったと思います。イベントにはおそらくこれまで湯沢やヤマモに関心がなかった層がたくさん来てくれたことで、発酵という言葉の強さを実感。町全体が発酵している印象も与えられたと思います。今回は日本人が中心でしたが、何人かのドイツ人にも好評でした。

このイベントが成功したため、さらにコンテンツを強化すべく、1月までに計4回、ヤマモ主催のイベントを開催。何がより魅力になるのかをテストしながら、国内のコンテンツ強化に努めました。このあたりは当初の計画にはなかったものですが、実行した結果、得たものも大きかった。そして、12月末頃にはコンテンツがある程度出来上がってきました。

また、11月のイベントが発酵に関する視野を広げることが目的だったのに対し、発酵の最高峰を見せるために1月の平日に別のイベントを行いました。あえてチケットに7000円の高値をつけて、ヤマモの高橋をはじめ、革命児とも評される人たちを集めて、より専門的な内容のコンテンツを用意。結果的に30万円ほどの売り上げを記録することができました。マニア向けの内容でも集客できるという実験もでき、売り上げもついてきたことで自信にもなりましたね。

これらのイベントによって、発酵自体や、もっと大きな意味での発酵というものが武器になることが分かってきました。そこで当初予定していたヤマモのファクトリーツアーだけではなく、それも含めた発酵を軸とした旅行コンテンツ、いわゆる発酵ツーリズムという方向で打ち出したほうが分かりやすいと考え、まずは地域全体のブランディングを行い、発酵のある町として外に発信していくことに決めました。地域のブランディングがない限りは、その中のひとつのセグメントにあるヤマモのプロモーションがしづらいんです。この気づきは重要で、ヤマモのために行うことが実は地域のためにもなり、地域のために行うことがヤマモの成果に結びつくと思います。

2018年の秋に、ヤマモの醸造工場の2階に地域の文化や歴史などを紹介するギャラリーがオープンしたことも大きかった。これによって今まで取り上げられなかった『Tokyo Weekender』のような外国人向けの複数の媒体に取り上げていただくことができました。さらにイベントを行うことで大きな認知につながり、発酵する町という地域全体のブランディングを行ったことで、行政区画でいえば、3地域の協力体制ができあがりました。これによって、例えば、ヤマモにいらした方に連携する他社を紹介するなど、お互いに紹介し合うことで、お客様にこの地域を巡ってもらえるようになったんです。この連携は行政主導ではできません。3地域15万人の発酵の町として、行政がつくるようなホームページを我々がつくり、いずれはそれぞれのツーリズム販売ページを相互リンクして、ヤマモのファクトリーツアーやいぶりがっこの体験などのさまざまなツーリズムをお客様が選べるような形にしたいと思います。とはいえ、ヤマモの高橋の話を聞かないと、発酵の神秘や重要性がわからないので、必ずヤマモのファクトリーツアーが入る仕組みにする予定です。ツーリズムが販売できるようになり、それを促すプロモーションムービーができれば、潜在的な来訪者に対して、リーチができるので、さらなる成果につながっていくはずです。

すでにヤマモのサイトでは、チケット購入ページを作り、3月1日には旅行代理店と組んで国内外へ向けた発酵ツーリズムのツアーを販売しています。バスを使って東京から湯沢への移動コストを低価格におさえることで、その分、よりコンテンツに消費をしていただけるような形にしました。

今後はツーリズムコンテンツにおいて、各地域が行政区画を超えた発酵する町としての相互補完関係を強化していくこと。そして、広報の強化。企画を販売する際に、わかりやすい動画コンテンツと合わせてプロモーションを行いながら、販売していく。さらに海外のターゲット地域に対して、販売代理店や旅行代理店を介してもいいので、直接プロモーションを行っていこうと思います。

地域を軸としたインバウンドを目指す場合、成功するためには唯一無二の強烈なコンテンツをつくるしかないと思います。ただ、それを自社だけでやろうとしないで、地域で考えてみる。今回、我々は発酵でまとめましたが、同じように地域をひとつにまとめられるテーマを見つけることが重要だと思います。そして、行政区画を超えてもいいので連合し、コンテンツの数をある程度用意して外に売り出していくことが消費者にとっても有益だと思うんです。

発酵に関する世界の市場自体は非常に厳しいのが現状で、だからこそ、発酵調味料のような物だけを売るのではなく、調理法や体験、経験も売っていく必要があると思います。それを踏まえると、我々としては健康産業にマーケットを見出していきたい。食育もそうですし、食を通じた健康プロモーション、禅と合わせたライフスタイルを提案するような形で発酵調味料を広めていきたいんです。そのためにも、まずは日本でそれを行いつつ、海外のインフルエンサーを中心に多くの外国人にも湯沢に来ていただく。そして、おいしいものを食べて健康になっていただき、我々の食文化を自国に輸入したいと発信していただく。ターゲットになる国はアメリカ、ドイツ、中国、インド。ただ、中国とインドに関しては、欧米で認められ、ブランド力をつけてからのほうが受け入れられやすいと思いますので、今後、様子を見ながら進めていきたいと思います。

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