BrandLand JAPAN

  • Project Report
  • Feb 27th, 2018

沖縄産ナチュラル・コスメで

香港から市場本格開拓

事業者:株式会社ポイントピュール
プロジェクトマネージャー:新垣美佳

久米島の海洋深層水と沖縄天然素材を使用したピュアコスメ「Ryuspa Refining」シリーズの、香港での販路開拓を狙ったプロジェクトです。アジアコスメ市場のゲートウェイであり、中間価格帯のマーケット層の幅が広がりつつある香港で足場を固めた後は、さらにアジア諸国への展開を目指します。プロジェクトマネージャーの新垣美佳氏が、香港市場に新たなブランドを参入させる際の、苦労や秘訣を明かしてくれました。

化粧品の売上世界一を誇る
日系百貨店でのテスト販売に成功。

 ナチュラルコスメ・ブームにある香港で、ピュアコスメ「Ryuspa Refining」シリーズの展開を目的とした今回のプロジェクト。最初に行ったのは商品の選定です。8月から9月にかけて、それぞれの商品が香港市場に合うかどうかの確認作業を販売先となる現地のショップと行い、難しそうな商品をリストから外していきました。そして、取り扱いが決まった商品に関して、バイヤーと相談しながら価格を設定し、10月からは化粧品の売り上げ世界一を誇る日系の百貨店でテスト販売を行いました。さらに11月には24カ国の業者が出展する「Cosmoprof Asia 2017」に5社合同のブースを設けて出展。400社以上が商談のために来場して、香港をはじめ、台湾、中国、タイ、韓国、シンガポール、フィリピンなどの27社から「Ryuspa Refining」シリーズを扱いたいとの要望をいただくことができました。これによって、今後のアジア展開における足掛かりができたと思います。

価格の設定には、香港の家賃も考慮

 今回の一連の施策の中で最も難航したのが価格の設定です。日本よりも高い香港の家賃や人件費を踏まえたり、将来、円高になった場合を想定して価格を決めなければならないからです。結果的に日本での販売価格の1.2倍から1.5倍の設定に落ち着きました。また、百貨店であればこの価格で売れるけど、量販店では売れないということがあるため、例えば、後者で販売する時は、ミニサンプルやトートバッグをつけることで、直接的な値下げではなく、実質的な値下げを行う必要があるということを学びました。

 そして、価格を設定後、日系の百貨店内に新設されたパーソナルケアをテーマにしたエリアにて、ヘアケア商品、「Ryuspa」、「Ryuspa Refining」シリーズを含めた22品目のテスト販売を行いました。この時に他社の商品や、百貨店側の意向で掃除用具なども一緒に置くことになったため、結果的に「Ryuspa Refining」のブランドイメージを作ることに苦労しましたね。

香港の消費者は、新しいものが
好きではあるが・・・

 すでに海外でも名前が浸透している大手化粧品メーカーと違い、日本の新しいブランドを手にとってもらい、イメージを構築していくのはかなり大変です。新しいものが好きな香港の消費者ではありますが、特に基礎化粧品は以前から使っている商品プラスαの形でしか入っていけないと思いますので、そこをどう切り開いていくのか? 試行錯誤した結果、クチャパック(泥パック)を売り場で実演したり、また、購入されたお客様にローションや洗顔料などをご紹介しながら、気に入ってくださったら追加で買っていただくという方向で進めることになりました

日本に比べて香港では
ポップの訴求効果が少し弱い

 日本では商品の脇にある、いわゆるポップの説明を読みながら、商品をお客様ご自身が選ぶことが多いと思います。特にナチュラルコスメに興味がある人は、この商品のどこがいいのか? 成分はなにが入っているのか? などをポップで確認していると思いますが、香港では同じように店頭にポップを置いても売り上げは伸びませんでした。そもそも香港の人たちはせっかちなので、第一印象で興味をひかなければいけません。つまり、最初の1秒2秒が勝負。ポップだけでは弱いんですね。そのため14時から20時までの間は、プロモーター3人体制で接客を行うことにしました。ただし、百貨店にいらっしゃるお客様は、販売員にしつこくついてこられることを嫌がるため、お邪魔にならないようにしながらお買い物のお手伝いができるようにすることが重要です。その際、お客様を第一に考え、他社の商品についても聞かれたら答えられるよう教育をいたしました。

 今回の一番の成果をあげるとすれば、百貨店のパーソナルケアのコーナーに、通常アイテムとして置いてもらえるようになったことですね。まだ1店舗だけとはいえ、平均して1日2万人を集客する百貨店です。実際には有名ブランドのスキンケア商品を目的に来店されるお客様も多いと思いますが、そういう人たちに、私たちの商品を紹介できたり、サンプルを試してもらう機会ができたのは、とても良いことだと思います。さらに販売員が声をかけて、お時間のある方にはより詳しい話を聞いてもらう。そして、商品を買っていただきながらファンを増やしていき、販路を広げていくという道筋が確立できました。これは大きな一歩になったと思いますね。さらにそれをリピーターやSNSなどでの口コミにつなげていきながら、さらなる人気や知名度を獲得していきたいと思います。また、今、量販店2ヶ所からオファーがありまして、条件が厳しい中ではありますが、商品を置いてもらうタイミングを見計らっている最中です。

香港の化粧品市場では、
オールインワンタイプが浸透中

 香港の化粧品市場全体の動向ですが、基礎化粧品のジャンルでは20代前半の方々はオールインワン化粧品を受け入れつつあります。私が香港に行き始めた2009年頃は、日本でオールインワンが一般的になり、良質な商品もたくさん登場していましたが、残念ながら香港では受け入れられていませんでした。ところが、近年、香港の若い方が旅行や留学で日本を訪れた際に、オールインワン化粧品を購入して利用することが多く、それがSNSで拡散。その結果、今、このタイプの化粧品が香港でも売れ始めています。残念ながら「Ryuspa Refining」シリーズでは、オールインワンのご用意はございませんが、香港の化粧品市場全体でホットな商品であることは間違いありません。

 日本の事業者の中には、香港市場にはなかなか入っていけないと思われている方も多いと思いますが、でも実際はそうではないです。つねに新しい商材を探しているのが香港マーケットですから。躊躇せずに、考えすぎず、まずはやってみることが重要ですね。自分のテンポやペースもあると思いますが、“鉄は熱いうちに打て”というのが香港スタイル。興味を持ってもらっているうちにどんどん進めていく。ちょっと時間を空けると忘れられてしまう恐れがあるので、とにかくスピードを早くしたほうがいいです。香港で成功すれば、ほかのアジアの国々にも広がっていくので、海外展開へのきっかけとしてもキーとなるマーケットだと思いますね。

中間価格帯の商品を
百貨店で販売する狙いとは?

 では、香港に進出する時に何から始めるか? まずは店舗を回って自分たちと似たような商品を見つけたら、その価格帯と自分たちが想定している価格帯との相違を調べます。そして、自分たちが販売しようとしている商品について、他社の類似商品との違いを出せるのか考えてみてください。出せないのであれば、まったく違う土俵から市場に入っていくのがいいと思います。例えば、中間価格帯である「Ryuspa Refining」のシリーズは、低価格帯と中間価格帯を扱うシティスーパーで扱ってもらうことが一般的ではないでしょうか。でもその場合、価格帯を考えると有名ブランドでない限り、売れるのが難しいと思います。そこで今回は中間価格帯と高価格帯を扱う百貨店に置いてもらいました。高価格帯の商品よりもお手頃ということで売上にもつながりますし、百貨店の店頭に並んでいるだけで、ブランドに対する信頼も得られるからです。

 今後は、百貨店での対面販売を継続しながら、現在交渉を行っているふたつの量販店を含めて、販路拡大を行っていく予定です。そして、「Cosmoprof Asia 2017」で商談した業者の国々を訪問して、アジアへの本格的な進出を図っていきたいですね。また、台湾でのOEM商談や、中国や香港で展開されているECを通したBtoCも実現していけたらと思います。