BrandLand JAPAN

  • Project Report
  • Feb 27th, 2018

金沢発祥 神楽坂育ちの和コスメ

「まかないこすめ」を
世界中の女性たちへ

事業者:株式会社ディーフィット
プロジェクトマネージャー:奥山丹奈子

金沢の金箔屋が発祥のコスメブランドとして、日本国内で人気の「まかないこすめ」。こんにゃくや和紙などユニークな素材を使った商品でも注目のブランドです。特徴的な商品が多いためか、これまではお土産品のイメージが定着していましたが、それをハイクオリティなイメージへとリブランディング。海外販路の拡大を目指すプロジェクトです。プロジェクトマネージャーの奥山丹奈子氏が、そのポイントや今後の取り組みについて語りました。

コアな化粧品に絞って、
リブランディングをスタート

 金沢発の和コスメとして、2018年3月現在、国内に14店舗を展開するのが「まかないこすめ」になります。グローバルに販路を広げていくことを目指し、これまでのお土産品のイメージをブラッシュアップ。デザインなどを一新し、リブランディングしていくのが今回のプロジェクトの目的です。

 最初の3ヶ月で行ったのは、現行のプロダクトの把握と、それに対するデザインの見直しです。「まかないこすめ」は、定番の商品に加えて季節限定の新商品をシーズンごとにリリースしているため、トータルで100種類以上の商品が存在します。あまりに数が多いので、今回は海外展開に向けたリブランディングとして、基礎化粧品など中心となる商品に絞ってプロジェクトを進行しました。やはりベースがブレるとどんどんおかしな方向に進んでしまいますので、まずはここを固めようと考えました。

和の色や素材にこだわり、
和コスメの世界観を構築

 最近の日本には和を全面に押し出したプロダクトが増えていますし、化粧品に関して言えば、無地のパッケージが多い印象です。でも「まかないこすめ」に関しては、自分たちのアイデンティティはキープして、和コスメという表現も含め、日本発のブランドであることは大切にしたい。そんな思いを踏まえて、日本らしさを残しつつ、ギフトとして選ばれるデザインを実現するために何度も議論を重ねました。そして、試作品を作り、できたものを並べ、問題があれば修正していきました。中でもこだわったのは、色を和の色見本から選んだことです。同じ赤でもヨーロッパの赤と日本の赤は違うんですよね。またパッケージなどには基本的に和紙を使用しました。これらによって、グローバル展開を意識した和コスメの世界観がかなりできあがったと思います。

容器のサンプルづくりは
思いのほかコストを要する

 想定外だったことは、デザインの変更作業に関して、思っていた以上にコストがかかるということ。容器をゼロから作るには型からおこす必要があり、1つの型を作るのに100万円以上かかるため、サンプルでさえもなかなか作れませんでした。そのため、理想を言えば、容器からすべてオリジナルでデザインしたかったのですが、今回はパッケージのみの変更にとどまりました。

 また、トライアルで作った時のパッケージの色味と、実際にプリントされた色味に違いがあり、できてくるまで正確な色味がわからなかったことも問題となりました。なるべく和をインスパイアするカラーを使いたいと思っていましたが、どこまでそれに近いものができるのかがわからなかったんです。

金箔入りのラグジュアリーな
化粧品ブランドを立ち上げる

 既存の商品のデザインをブラッシュアップする一方で、金沢大学の教授と研究を行い、金そのものが肌にいいことが実証されたので、それをもとに金箔入りのラグジュアリー化粧品ブランドとして「GOLDAYS」を立ち上げました。「まかないこすめ」は、身近なコスメにしたいという思いから、あえてカジュアルな商品として展開していますが、並行してハイエンドな商品も開発して両方から攻めていく形もありだということで開発したブランドになります。パッケージには和紙を使い、着物をイメージしたデザインを採用。ボトルを和紙で包み、帯に見立てた水引で留めました。ほかの商品に比べて価格は上がりますが、「GOLDAYS」の存在によって、「まかないこすめ」全体のイメージがレベルアップし、旅のお土産だけでなく、ギフトとしても購入していただけると思います。いずれは「GOLDAYS」の洗練されたデザインと世界観をすべての商品に採用していけたらいいですね。

 同時に店舗デザインの見直しも行いました。リブランディングにあたり、プロダクトのデザインだけでなく、空間のデザインともリンクさせて新たな世界観を伝えていく必要があります。第一号店として完成したのが「まかないこすめ仙台店」です。華やかさなど金沢発祥の「まかないこすめ」のカルチャーは残しつつ、店舗デザインを考えました。これまでは伝統的な和のイメージでしたが、それをモダンな和のイメージにリニューアル。化粧品を扱っているので、清潔感やリフレッシュ感も加味して、明るいイメージの店舗に仕上げました。それによってこれまで以上に若者層を取り込むことも狙いです。そして、店内には新しいデザインの商品をどんどん並べていきました。現状ではすべての商品が新しくなっているわけではないため、新旧の商品が混在している状況ではありますが、リブランディング後の新生「まかないこすめ」のイメージを伝える役割は果たしていると思います。できれば、全店舗を改装してイメージをなるべく早く統一したいのですが、なかなかそうはいかないのが現状の課題ですね。

和をインスパイアする
商品の個性が海外で人気に

 2017年12月からは海外展開も行いました。具体的にはパリの「Le Bon Marche Rive Gauche」やロンドンの「The Conran Shop」での取り扱いが始まったり、パリの「The Japan Store ISETAN MITSUKOSHI Paris」や「Merci」、「Bows&Arrows」でポップアップストアを開催しました。ただし、今回の海外展開で扱っているのはリブランディング後の商品ではなく、以前のデザインの商品になります。それでも反応は上々で、例えば、和紙タオルや練りこんにゃくスポンジなどは、和をインスパイアできるようなユニークな商品なので、そのあたりが海外で受け入れられているのではないかと思います。今後はリブランディングした商品を海外で展開していく予定です。

 例えば、ニューヨークではアジアの人ではなく日本人の寿司職人がいる寿司レストランが増えていたり、抹茶がブームになるなど、日本文化への理解が深まり、興味をもつ人も多くなっています。その感覚は、コスメの分野でも同じだと思いますね。ただし、これはコスメに限らず、プロダクト全般について言えることですが、和を全面に押し出しているような商品は、よほど日本が好きな方以外には受け入れられにくい。ポイントは、和だけどそれをそんなに意識させないこと。ちゃんとしたブランドとして見てもらえることが重要です。また、海外向けのパッケージデザインには、日本語はあえて残していいと思います。なるべく英語と日本語を併記すれば、日本と海外で共通のパッケージを使用することができるので、コストパフォーマンスにも優れます。

世界観を海外の人たちに伝えるために
オンリーショップを展開したい

 今後のテーマは、海外に向けたブランドとしての見せ方ですね。金箔屋から発祥したコスメなど、「まかないこすめ」にはさまざまなヒストリーがあるので、それらをプラスαで加えていければ、唯一無二のどこにも負けないブランドに成長できると思います。そのためには、少なくとも海外の店頭にプロダクトの説明をしてくれるスタッフが必要です。それからデパートなどで扱ってもらう場合は、ディスプレイの方法を店に委ねないといけないことが多く、ブランドのカルチャーや世界観を伝えきれません。それを解消するにはやはり自分たちのショップを作ること。いずれは海外にオンリーショップを展開したいと思います。2018年1月にリブランディング後の新店舗として金沢駅の駅ビル内に「金沢駅あんと店」がオープン。インバウンドの客が多いので、こちらでヒヤリングなどをして海外出店に関してのリサーチを行う予定です。

 今回、約8ヶ月の短い期間ではありましたが、メイン商品のパッケージデザインを変更し、リブランディング後の内装を施した2つの店舗を完成することができました。ただし、本格的な成果として数字に表れてくるのはこれからだと思います。コーポレートサイトのリニューアルに伴って、英語、フランス語、中国語にも対応させたり、国内の旅行代理店へのキャラバンを実施して、インバウンド客の誘致に取り組むなど、まだまだやるべきことはたくさんありますので、リブランディング含めて、引き続き施策を実行していきたいと思います。